---  Crate Engine Project 14  ---

 2006.02.11 時よ止まれ

ブラケットを特注したことにより時間を要していたが、全てのパーツがそろい、ブレーキの作業を再開した。
フロントに355mmサイズのGTR用ローターが装着された。
これは、クラシカルな17インチホイールに納まる限界サイズだ。
C3コルベットのサイドブレーキは、リアブレーキとは別に、ドラム構造の小型ブレーキが装着されている。
リアのブレーキユニットを変更する場合は、この考慮が必要になる。
今回はリアをスープラ用の330mmサイズのローターに変更することにより、
サイドブレーキ用のドラムも特注した。
使用するユニットは、ノーマル・ブースター使用を前提に開発されたものである。
したがって、今回のように、ブレーキブースターのスペースに制限のある状況でも、充分な効果を発揮するに違いない。
最強の悪魔を日本の鬼が止める。
こいつなら、時間の流れも止まるかもしれない。
装着された355mmGTR用のローター。
落ち着いたカラーを選択した。
これまで使用していたローター。
アルマイトの色が派手です。
こちらがお好みの人も多いはず。
ブラケット類を特注したために、時間を要してしまった。
リア・ブレーキローターの装着前。
中心部分がドラム構造のサイドブレーキ。
リヤ・ブレーキローター。
サイドブレーキ用のドラム本体は特注品だ。

右バンクのバルブカバーも完成した。
572エンジンであることを示すものはなくなっが、
エンジンルームはすっきりとした印象だ。
今日もWESTには上物のVetteが集まっている。
C3のお客さんも意外と多い。
最近では、手間暇を掛けて仕上げれるお客さんが
増えてきたようだ。
徐々にコレクターズ・アイテム化が進んでいるようだ。


 2006.02.23 試験走行(新ブレーキシステム)

ブレーキの取り付けが完了した。
フロント・ホイール内の6potキャリパーとのクリアランスを見ると、
このミッションがいかに困難であったかが推測できる。
また、リアのローターをグレードUPされているC3は少ない。
今回は、ワンオフのサイドブレーキ用ドラムがこれを可能にした。
既に300km以上の初期慣らし運転を実施した、ZZ572を始動させる。
極低速での制動では、全く違和感を感じない。
いよいよ、走行テスト。通常のブレーキングでも踏力は現代の車両のレベルが確保されている。
そして、フル・ブレーキングでは、いままで体験したことのない強烈なブレーキング・パンチをお見舞いされた。
ボディは1969年のC3だが、現代の車と遜色ない抜群の制動力だ。

エンジンパワーだって申し分ない。
アクセルを踏めば、ボディの重量を無視するように、タイヤが回転する。
少々暴力的では有るが、どの速度域からでもテールを沈めて迫力ある加速体勢に移る事が可能だ。
ただし、高回転型の427用にセッティングされたファイナルでは、ギア・チェンジが忙しい。
ファイナルの変更は今後の検討課題だ。

さて、先日完成したバルブカバー。
アイドリングでは何の問題も無かったが、走行試験ではオイルの染み出しが確認された。
この部品は1969年製の物ではない。
現在のGMが製造・販売しているものだ。
これがアメリカの技術力なのだ。
日本車や独車のレベルに達することは、永遠に無いのかもしれない。
また、テスト中にオルタネーターが故障した。
このマシンではオルタネータの交換は3度目になる。
GMのオルタネータに故障が多いのは周知の事実であるが、世界のレベルでは欠陥と言われても仕方が無い。
GMは事実を受け止め、改善に努めてもらいたい。
俺達のようなファンが存在しているうちに。

前者のバルブカバーは、内側からコーキング材を焼付ける事にした。
後者のオルタネーターは、新品に交換する。

完成に向けての作業は、小修正と調整のみになってきた。
ZZ572を始動。
相変わらず、強烈な存在感だ。

17インチホイールに入る限界サイズのブレーキシステム。
国産品であることが、信頼度を増している。
トラストのメーカー担当者も予想をしていなかったマッチング。
「まず、やってみる」という姿勢で臨まないと、
これほどまでの結果は出せない。
リアのローターが見える。
これほどのローターが装着されたC3を見たことは無い。
中央部分がサイドブレーキ用のドラム。
当然ながらワンオフ。

一般のSHOPならば避けて通る改良ポイントだ。
バルブカバーからまたしてもオイルの滲みが・・・。
HとEの間から・・・。
ボウタイマークからも・・・。
こういった不具合を俺たちVette Maniaが補完し続けている。
GMはオイルが漏れるのは当然と思っているのかもしれないが、
それは世界の技術レベルから逸脱している。
経営状態が悪化しているとはいえ、何とか世界に追いついてもらいたい。
ステアリングのポジションが最適化され、
メーターの視認性も向上した。
巨大なZZ572は、このスターターボタンで目覚めるのだ。


2006.03.19 仕上げ工程

ここまできたら、走らせる事こそが最良の試験となる。
WESTを訪問し、早期決着のお願いをしてきた。
オルタネータは、関連する配線を含めてチェックをしてもらうことにした。
可能であれば、配線を大幅に整理したいと考えている。
オイルの滲みは、バルブカバー内部のコーティングにより、完全に改修されている。
しかし、インマニ後端より新たなオイル漏れが発見された。
この部分は、GMから送られてきた状態で、何も触れていない。
GMをどんなに美化する人がいても、信じない。
俺たちは、いつもこういう現場を見ている。だからもう驚きもしない。
さて、完全に修復するためには、ZZ572用の特殊なガスケットの到着を待たなくてはいけない。
ケミカル類で止まる事を祈りたい。
サイドに振り分けたエグゾースト・パイプのカバーは、作成に時間が掛かりそうだ。
その為、今回の仕上げには含めない事にした。
僕の足はデニムで守られているから、そう不便もないだろうし、
このマシンの助手席に乗りたがる女性もいないだろう。
当面、火傷の心配はなさそうだ。
長期間に及ぶ困難なオペだった。
不可能なことだと考える人もいた。
俺たちは完成する姿だけを信じていた。
春の訪れで雪が解けて姿を現すように、生まれ変わって走り出すのだ。
ZZ572爆音が、都会のショーウインドウのガラスを震わせる日は近づいている。
完全に仕上げられたコルベット・コブラが、早く来いと誘っているように感じた。



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